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保護者によるシンガポールのインターのスクール紹介(&体験談)


このページでは、2012年から約10年シンガポールに滞在し、その間、自身の子どもたちを2つのインターナショナルスクールに通わせたインターママ英会話の講師がシンガポールのインターナショナルスクールへの入学や、国籍割合、カリキュラムなどをご紹介いたします。

シンガポールの名門インター、UWCにご興味をお持ちの方は、UWC卒業生であるインターママ英会話の講師がご紹介するUWC経験談の記事もご参考になさって下さい。

1. 入学の流れ

シンガポールに移った当初、子どもたちは、Canadian International Schoolに通い、その後、Singapore American Schoolへ編入しました。入学願書の提出は、全てオンラインで行い、過去3年間の成績表や、担任の先生からの推薦状が求められます。合格通知も同様にオンラインで受け取ります。

面接などは特にありませんが、英語のサポートが必要な生徒さんは、英語の試験を受けることになります。最近ではWIDAテストを実施する学校が多く、英語の4技能を評価されます。これは、英語の補習クラス(通常EALまたはELLと呼ばれることが多い)を卒業する際の判定にも使用されるようです。WIDAテストの内容は、オンラインでも確認できますので、不安な場合は、オンライン上の練習問題を事前に確認しておくと良いでしょう。

編入の際も、成績表や推薦状をオンラインで提出し、特に面接はありませんが、EAL/ELLの生徒さんは、英語の試験が課されます。最近の流れとして、英語能力の判定基準を統一化する動きが見られるため、WIDAテストを行う学校が増えていますが、学校独自の試験内容で評価される場合もあります。

シンガポールでは、英語ができなくても入学できるインターが多々ありますが、中には、英語の補習クラスがないイギリス系の学校アメリカンスクール、そして国際バカロレア(IB)を導入する伝統校のUWC-SEA(United World College South East Asia)などでは、最初から英語力が求められますので、入学時から一定レベルの英語力が必要な学校もあります。

2. 公立校、インター、ローカル・インター

外国人は、シンガポールの公立の学校に入学することが極めて困難なため、インターナショナルスクールまたは日本人学校の二択が選択肢となります。

逆に、シンガポール人がインターに入るには、国の許可が必要なため、一般のインターにシンガポール人がいることは極めて稀です。一方で、St. Joseph Institute InternationalやAnglo Chinese School (ACS)など、通称ローカル・インターと言われる学校は、基本的にシンガポール人が通うIB校ですが、一定レベルの英語力を持つ外国人も入学可能となっています。

一般的なインターは、学年が上がるにつれて生徒数が減少する傾向がありますが、イギリス系のインターやUWC、アメリカンスクールなどは、中学・高校でも高い在籍率を保っているのが特徴的です。

3. 国籍の割合

全般的に、どの学校もとても多国籍で、例えばCanadian International Schoolは在校生が約3000名で、出身国はおよそ80か国・地域とも言われています。個人的には、アメリカ・ヨーロッパ系・アジア系・インド系の程よい多国籍な環境という印象です。

一方、アメリカンスクールは、生徒数が4000名ほど。最も多いのがアメリカ国籍保持者(二重国籍者も含む)で、約5割の在籍率ですが、続いてインド人、中国人、韓国人、シンガポール人(多くは永住権保持者)やカナダ人。日本人の割合は2パーセントほどです。

4. イベント

学校内のイベントは多岐にわたりますが、一例としてスポーツデーハウスデーがあります。ハウスデーは、学校全体をいくつかのハウス(チーム)に分け、年齢や学年に関係なく縦割りで一つのチームとして行動することで連帯感を築き上げることを目的とした学内イベントです。

他にも、UNデーと称してそれぞれの国の民族衣装を身にまとって行う国際色豊かなパレードや、多くの国々の食べ物や文化を紹介するインターナショナルフェアなどもあります。

5. 保護者

インターでは、ボランティアの機会がたくさんあります。そこで保護者同士の交流を深め、お子さんの様子を間近で見られるチャンスでもありますので、特に始めの頃は学校行事に積極的に参加することによって、学校の様子を垣間見ることができます。

子ども同士が仲良くなってくると、プレイデートを通じて、お互いの家で遊ぶようになり、頻繁に行われる子どものバースデイパーティーで顔見知りになって、徐々に親同士も親しくなっていくものです

保護者は、海外赴任の方がほとんどですが、業種は多種多様です。最近は、日本人の母子留学も年々増加しているように思われます。

インターの保護者の方々を見ていて印象的なのは、父親の海外赴任に伴う移動が多い中、母親が仕事を辞めて帯同するケースが多く見受けられることです。離職したことに後悔があるのかと思いきや、実はお母さんご自身も海外生活を楽しんでいらっしゃることが多く、自国に戻った際には、復職されている点も非常に感心させられます。

6. インターの先生

インターの先生方は、様々な国籍保持者がいますが、私の印象では、イギリス系の学校では、イギリス英語が中心のイギリス人やオーストラリア人の教員が多く、アメリカンスクールを含む他のインターでは、教師陣が実に多国籍ですが、ほとんどは北米やヨーロッパ、そしてアジア出身です。シンガポールのインターに関していえば、土地柄、東南アジア出身の教員も少なくありません。

興味深いことに、先生同士がご夫婦で同じまたは別々の学校に勤務されていることや、ご自身も様々な国を渡り歩いた経験のあるTCK (Third Culture Kid)であることも多く、海外で育つ子どもの教育に理解があるのも、このようなバックグラウンドを持つところから来るのかもしれません。

7. 先生との会話の機会

一年を通して、先生と気軽に会話ができる機会は、年度初めのオリエンテーション保護者面談、そしてボランティアで学校のイベントに参加した際や子どもの遠足社会科見学に付き添う場合でしょう。

それ以外にも、個別に相談したいことがあれば、いつでも先生に直接メールを送信できますし、実際に対面で面談を希望する際も、快く対応してもらえますので、学校とのコミュニケーションが難しいと感じる場面は意外と少ないと思います。

8. 保護者面談

保護者面談は、年に数回行われますが、多くの場合10~20分程度と時間的な制限があるため、先生とゆっくり面談というより、先生から要点を聞き、もし具体的に聞きたいことがある時は、それを簡潔に引き出していくことが大事になってきます。

特にIB校では、student-led conferenceと言い、子ども主体のカンファレンスになるため、日本人が慣れている内容の面談とは異なります。むしろ子どもによる自分の学習内容についての発表の場であり、保護者が先生に質問する形式ではなく、親が生徒自身に質問することになります。その際、英語ではなく、母語で質問しても良いと言われます。このような面談の形は、自分で自分の学習に責任を持つというIB独自の教育理念がよく現れています。

全般的に、インターの先生は、ご自身も海外で子育てをされている方が多数いらっしゃるので、そういう意味でも子育てや海外生活に共感してくださる印象があります。

9. インターの国際教育カリキュラム

IBプログラムを採用しているインターでは、探求型の学習をベースとしています。自ら学び、リサーチし、それを発表する機会を与えられ、または課題という形で内容をまとめ、それを提出することでアウトプットしていきます。日本の典型的な教育とは異なり、戸惑う方や不安に思う方もいらっしゃいますが、これはインターで最も多く採用されているプログラムです。

IBプログラムで高校まで進んだ場合、IBディプロマを目指すことになりますが、その他にも、イギリス系の学校は、IGCSEというプログラムに進み、高校では最終的にA-levelの試験を受験することになります。一方、アメリカのカリキュラムを導入している学校では、高校でAP (Advanced Placement)の単位を取得することになります。

シンガポールのインターの場合で言うと、例えば、UWCの高校生はIGCSEを履修後、IBのディプロマ・コースへ進みます。アメリカンスクールでは、生徒一人ひとりが卒業までに取得するAPの種類や数は人それぞれです。いずれにしても、海外の大学を受験する際に大きく左右するのが、最終的なIB試験のスコアやhigher levelの科目(IBでは、standard level  (SL)の科目とhigher level (HL)の科目に分かれる)またはAPの内容となります。Higher levelの科目や、難易度の高いAPに関しては、大学レベルの授業内容と見なされるため、最終的な試験でハイスコアを取得しておくと、大学や専攻によっては単位の互換性が認められ、大学入学後に履修が免除される科目もあり、学生にとってはメリットです。

複雑に見えるかもしれませんが、IBやIGCSE、APにしても、学習内容に大きく差があるわけではなく、アプローチの違いと捉えると理解しやすいかもしれません。イメージとしては、IBでは理系・文系・芸術系の科目をバランス良く履修することが求められ、APは自分の得意科目や目指している大学の専攻に合わせ、個々人で進められるカリキュラムという感じでしょうか。

以下の記事では、インターナショナルスクールの国際教育カリキュラムについてもう少し詳しい説明と、海外の大学進学に関係する国際的な評価団体についてもご紹介しております。

10. 家庭での子供との会話で使う言語

私自身、ブラジルで育った帰国子女ですが、親との会話は日本語でしたが、弟妹同士の会話は、日本語とポルトガル語をミックスした言語環境でした。当然ですが、日本語もポルトガル語も中途半端という結果を招き、その後大学院で母語と第二言語の習得の関係性を専門的に学んだ末、我が家では子どもを育てる際、日本語オンリーという家庭環境を貫きました。

なので、英語はネイティブレベルの子どもたちですが、お互い英語で話をするのは違和感があるのはそのためです。なお、英語を身に着けていく過程において、日本語学習をどう進めるかという問題がありますが、塾という選択肢がある中、我が家では、通信教育を中学まで継続しました。ただ、家庭で日本語を使用しているものの、親子の会話は内容が限られているため、普段の日常生活であまり出てこない単語や表現は、読書(マンガも含む)や動画鑑賞などで補えているように思えます。

11. シンガポールのインター卒業後の進路

シンガポールのインターを卒業後は、アメリカやヨーロッパの大学に進学する生徒がほとんどですが、中には日本やシンガポール、そしてオーストラリアの大学に進学するケースもあります。

一方で、前述の通り、インターにシンガポール人はほとんどいませんが、シンガポールの永住権保持者はいます。その場合、高校卒業後、男の子はシンガポールの徴兵制度により兵役の義務を果たすため、すぐに大学に入学しないお子さんもいらっしゃいます。

2年間の兵役を終えてから大学を受験する子もいれば、合格した大学が兵役期間中に席を残してくれる場合や、兵役途中で進学するケースなど様々ですが、現実に、兵役で価値観が一変して、合格していた大学には進まず、最終的には入学を辞退するという事例もあると聞くことがあります。

12. インターの学費

シンガポールのインターはとても高額で、経済的に大変ですが、近年、お手頃インターと呼ばれる学校も増えており、選択肢の幅が広がってきています。One World International SchoolMiddleton International Schoolなど、学費が比較的安価な学校もありますので、それぞれのニーズに合わせた選択肢が豊富にあると言えるでしょう。

13. 海外での子育て

海外での子育ては、子どもの言語環境や成長に伴う文化的・言語的アイデンティティの確立など、一筋縄ではいかないことが多々あります。

その中で、子どもをインターに通わせるのは、一つの選択肢にすぎませんが、G7の先進7カ国の中で、入学試験が主体の大学受験が未だに残っているのは日本だけであることを踏まえると、知識の他に、インターで培った自己肯定感や、自ら幅広い情報を取ってくる力、そして自分の強みを自覚し、それを活かしていく力や、他者を受け入れる寛容さや共感力は、多言語・多文化な環境だからこそ身につけられた広い世界を生きていくための大事なスキルではないかと考えます。

冒頭でもご紹介しましたが、シンガポールの名門インター、UWCにご興味をお持ちの方は、UWC卒業生であるインターママ英会話の講師がご紹介する以下の記事もご参考になさって下さい。








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